ユーザーサポート 株式会社 測範社

ねじゲージ 使用上の注意事項

安全上の注意

  1. ゲージを検査以外の目的で使わないでください。例えば、ナットやボルトの代わりにねじゲージを使用すると締結の目的は達せず、ゲージ精度の低下や破壊の原因になります。また,工具代わり(ハンマー、タップ、ダイスなどや、さらえを目的として使用すること)には、絶対使用しないでください。一度そのように使用したものは、ゲージとしての機能は保証できないばかりか、場合によっては安全性を損ねることがあります。
  2. ゲージには、その機能上の要求により鋭利な部分がありますので、怪我など十分注意してください。特にねじゲージの場合、ねじ山および不完全ねじ山が鋭利になっていますので、特殊防せい表面保護剤、防せい紙等をはがすときは慎重に行ってください。
  3. ゲージとハンドルは長い期間で緩む事があります。大型のゲージがハンドル緩みで落下した場合、思わぬ事故が発生することがありますので、充分注意してください。
  4. 製品が運動状態にある時は、絶対にゲージによる検査をしないでください。落下、破損、飛散などにより重大な事故が生じる恐れがあります。幸いにして事故にまで至らなくても、ゲージの異常摩耗,発熱などを生じ、ゲージの寿命に悪影響を与えます。
  5. 気化性防せい紙の取り扱い後は、石鹸水または清水で手を洗ってください。詳細は日本防錆技術協会宛てに問い合わせ願います。

ご使用前の注意

  1. 使用に際しては、ゲージに潤滑油を充分塗布した上で使用してください。製品も、じんあいや切り粉などをよく払ってあることを確認した上で、ゲージを使用します。特に砂ぼこりが付着していると著しくゲージの摩耗を早めます。
  2. 限界ゲージは,通り側が通ることを確認してから、止り側ゲージが止ることを確認します。ねじゲージの場合は、ねじ込み・ねじ戻しを数回行い、余分の潤滑油やねじ山に残っているゴミなどを押し出すようにして使うと良いです。合否の判定は、それぞれのゲージの判定基準によります。
  3. ゲージで製品を検査するときの力は、プレーンゲージの場合、原則としてゲージの自重(挟みゲージの場合は、作動荷重)とします。小さいゲージの場合は、鉛筆で書くときの力くらいが望ましいです。性別、人種、熟練度、年齢などによって異なりますが、はかりの上で書いてみるとわかります。一般に3~5Nと言われています。ねじプラグゲージの場合も、同じ様に、鉛筆を使うときの強さでねじ込むと言われていますが、実際にはこれより強めにするのが普通で、ある資料によればその力は10N程度とされています。少なくとも、手でハンドルを握りしめてねじ込む様な事は、特別大きい場合以外はしてはなりません。ねじ用リングゲージの場合は、ゲージを固定し製品を手に持ってねじ込むと余分のトルクが加わらないのでよいです。
  4. 管用テーパねじゲージで製品ねじを検査する場合、ゲージを最後まで急速にねじ込むと、衝撃的にねじ込まれ抜けなくなりますので、最後のねじ込みは、慎重に行ってください。
  5. 製品の口元の状態に気を付けます。打痕、かえりなどがあると判定に狂いを生じさせます。特に、ねじ製品の場合には不完全山の倒れによる判定誤差が生じやすいです。
  6. ゲージと製品は,互いの軸心を合わせてはめ込まないと、“食つき”が生じ、通すことも抜くこともできなくなる場合があります。このときは製品のみならずゲージも傷つける恐れがあります。特に、径の大きいものやねじのピッチが細かいものは慎重に行います。(万が一このような状態に陥ったときは、木またはプラスチックハンマーで互いの軸心が合うように軽く叩くか、リング側をわずかに熱して膨張させて抜くのがよいです。)
  7. ゲージの転がり落下や倒れに注意します。誤って床などに落としてしまったときは、損傷の程度を良く確認し、アルカンサス砥石などでかえりを除去するなど適切な処理を行ってください。ゲージの上に物を落としたり、ぶつけた場合も同様です。
  8. 磁化したゲージは、鉄粉などが付着してゲージの摩耗を早めます。そのときは脱磁してください。
  9. 長い時間、ゲージまたは製品を手で持っていると手の熱で寸法変化を生じます。合否判定にはこの熱による膨張分を考慮しなければなりません。加工直後の製品をゲージ検査するときも同様に製品とゲージの温度差を考慮します。また、製品が薄肉リングなどの場合、冷却にともなって収縮し、プラグゲージに焼きバメしたような状態になるので充分注意します。

保管時の注意

  1. 製品とゲージ、あるいはプラグゲージとリングゲージなどをはめ合わせた状態で保管しないでください。密着したり,さび発生の原因になることがあります。
  2. 保管に際しては、じんあい・切り粉・指紋などをよく落とし、さび対策を行ってください。また、ゲージは湿気のない、温度変化の少ない場所に保管してください。防せい対策としては、
    ①ゲージを良く拭き、洗油またはベンジンで洗うか、指紋中和剤を塗ってから防せい油を塗るかまたは油に漬けておく。
    ②ゲージをよく洗ってから防せい紙に包む。または防せい剤をゲージ面に付着しておく。
    ③よく洗浄した後、特殊防せい表面保護剤で包む。などの方法があります。

寸法管理上の注意

  1. ゲージは摩耗に注意し、使用頻度などを加味して、定期的な検査を行ってください。摩耗限界を超えたゲージは使用してはなりません。先端が摩耗しやすいので先端を測定してください。
  2. ゲージ寸法は20℃で定められていますので、環境温度が20℃でない場合は20℃に換算した後、寸法判定してください。また比較測定の場合には、ブロックゲージとの温度差に注意してください。
  3. 検査時には、さびや温度上昇による寸法変化を防ぐため、手袋やピンセットなどを使い、素手で触れることは極力避けてください。